2004年5月期

洋包丁カスタマイズ!

さて前回の和包丁カスタマイズに続き洋包丁です。
洋包丁は和包丁よりも薄くて焼きも硬く入っていない為幾分楽に作業をこなせると思います。

洋包丁はご存知の通り、機械化が進み量産体系にあります。
型を抜いて焼いて自動研磨して〜〜〜〜〜っと色々と工程があります。
十分使える状態で販売するのですが、もう少し手を加えると使い易いと
言うか使用して楽しい包丁になるのでそれらを紹介します。

1、洋包丁のマチ?
洋包丁にも一応マチっぽいのがあります。マチと言うより顎かも知れませんが、
鍔の部分からすぐ上のブレード部分の角を少々改造してみましょう!
マチ?をヤスリなどで取ってしまう!
目の細かいヤスリで仕上げた方がGood!
顎部分も滑らかにしておくと使用感が良くなります。
もしサビと〜るを持っているならば、そこを磨くと
更に滑らかになります。
仕上がった状態。角っぽく無くて滑らかです。

この部分の角は、3万円近い包丁には無い?(加工されてる)
事が多く、その分職人が手を掛けていると言えます。
この部分は、型から抜いたままなので、場合によっては尖っている事もあるので、
滑らかにすると握った時、手が痛くならないかも!
型から抜くって事は、鉄板から包丁の形をした型を圧力を掛けて引きちぎるので
ザラザラしてて当然かな??
包丁の背、柄の周りは擦りまわすのでツルツルしていますが、顎部分は触ってない
場合が多いです!

2、包丁の背中!
包丁の背も擦りまわしていると言いましたが、ザラザラが無いだけで角は残ってます。
この角も丸く仕上げる事で使用感が良くなります。
これは全体を擦るのではなく、手の当る部分のみでOKだと!
この部分の角も3万円近い包丁は鏡面仕上げに加工されています。

背中部分は一応滑らかになっています。しかし
もっと使い良くしたいので、サビトールでゴシゴシ
してみました。包丁背全体を磨く必要は無く、指
の当たる部分を磨くと良いでしょう。
マチ部分に当たる中指は良い感じです。
背中に当たる人差し指も快適です。

3、顎を落とそう!
和包丁でも同じ作業をしましたが、洋包丁でも同じく顎は危険な部分です。
和包丁のようにマチが無いので、柄と顎の距離も近いので是非行って欲しいです。

結構尖ってます。和包丁よりも薄いので角が刺されば
深く入りそうな気配です。
写真は加工前の状態です。
顎を落としてみました。包丁自体薄いので、中砥でクイクイ
っとすればスグに丸くなります。
この包丁は以前、特集に登場した180mm
のINOX牛刀です。ハマグリ刃&糸引刃で
今回のカスタマイズも加わって中々良い感じ
になってきました。
時間がある時に綺麗に研ぎ上げてみようと
思っています。


洋包丁でカスタマイズは、これくらいにして次ぎは、研ぎです。
和包丁でも見受けられたコンコルド状態の切っ先!洋包丁でも良くある症状です。
切っ先がコンコルドでも問題無いと言う方も居られると思いますが、押し切りする
場合は、障害になる場合があるので、是非この機会に修正してみてください。
*障害?=キャベツなどを刻む場合、押し切りしますよね!その時、まな板に切っ先
     が当ってしまう恐れがありますし、包丁のアールを使用して刻む事が出来ません!

会社に砥石均し様の300mm牛刀があったので、これを壊してサンプルにしたので、治す
工程を紹介します。 ご覧の方の包丁がもし同じ様な状態ならば参考にして下さい。

切っ先がコンコルド状になっている包丁が良くあります。
和包丁と同様に使う部分ばかり研ぐからです。
これを修復しましょう!



1、荒砥で形状を整える。

荒砥で一気に形状を整えます。右が強引に整えた切っ先。


2、均一に荒砥で研ぎ、中砥で整える

荒砥で薄くします。 中砥で研ぎ目を消す。
荒砥で仕上がった状態。 中砥で仕上がった状態。

この時、包丁の厚みが結構ある場合、荒砥で薄くして上げるのもアリ!
しかし、荒砥で厚みを抜くと荒砥跡を消すのが大変なので時間が掛かりますが
中砥でゆっくり研ぎ上げるのが良いと思います。
包丁を使い込んで、しっかり研いでいるのに切れ味が落ちた!っと思う人は、
刃厚が厚くなってる場合がほとんどです。切れ味が落ちるのでは無く刃通りが悪くなった
と考えて間違いないでしょう!

3、仕上げ砥で刃先を研ぐ!

仕上砥で刃先を細かく仕上げ。 刃先は鏡面に近くなりました。

4、時間があればハマグリ刃を付けてみる。

5、糸引き刃を付けて完成!


通常
荒砥⇒中砥⇒仕上げ砥で十分です。滑らかで鋭い切れ味と長い切れ味を求めるならハマグリ
や糸引き刃を付けると歴然とした差が出ます。

注意!洋包丁はそんなに焼きが硬く入っていない為、細か過ぎる砥石で研ぐと滑ります。
   仕上げ砥は3000番までに留めておく事をお薦めします。


使用状況に応じた研ぎをしよう!
これは、実際に使用される調理師さんにしか分からない事ですが、こうしたらこうなる!と
いった提案を致します。自分の包丁と、求める切れ味と、求める切れ味持続力、使用する食材、
まな板を考えて研ぎを行うと良いでしょう。

自分の包丁は「牛刀、ペテ、筋引、サバキ、洋出刃etc」です。
求める切れ味これは、誰しも良く切れる包丁を求めると思いますので、特に何も無いです。
切れ味持続力これも、永遠に切れる包丁があれば最高なのですが、そんな包丁は存在しません!
「ワシの店は一日平均50人前の食材を切るから、一日切れ味は持続して欲しい」
「ワシの店は一日平均10人前の食材を切るから、三日切れ味持続して欲しい」
「ワシは、一日2人のお客しか相手にしない高級料理店やから、切れ味持続より鋭い切れ味を!」
っと言った感じで、お店の状況や包丁の使用頻度によって研ぎが左右されます。

次ぎに、使用する食材です。
「ワシは水産加工で洋出刃で魚を卸すんや!」「ワシはとんかつ屋でカツを綺麗に切りたい!」
「イタリア料理のカルパッチョを綺麗に作りたい」「焼肉屋だけど骨に当る時があるんや!」
またコレによって研ぎが変わります。

次ぎにまな板です。
以外にまな板を切ってる場合が多く、食材が切れると言う事は、一番最後に包丁の刃が接する
所はまな板です。現在のポリ系まな板は包丁には良く無く、木のまな板が最高ですが、食中毒
などの対策から、ポリ系を使うしかない状況です。ポリ系まな板で包丁を使う時の研ぎも存在
します。別に特別な研ぎではないのですが、多少刃持ちは良くなると思います!

簡単に言って項目を考えると自分に合った洋包丁の研ぎが見つかると思います。

「こんなんしたら、こうなるやろ!」っと言う意見を別と考え、こうしたらこうなるを紹介します。

メチャクチャ切れる様にする!
簡単な事で、包丁を薄く研げば研ぐほどメチャクチャ切れるようになります。
切れ味を持続させる!
これは、上の項目と対象的な事です。薄くすれば刃はすぐ弱りますから、切れ味は即落ちます。
刃先は薄いが、刃先を支える部分は少し厚いと言うハマグリ刃で解決です!
糸引き刃も切れ味を持続させる効果があります。

食材によって研ぎを変化させる。
硬い物に刃が当る可能性がある時は、刃角を鋭くします。硬い物に当る可能性が無い場合は
多少薄くしてもOKです。ここで、言う硬い物は、牛骨、魚骨などです。にんじん大根などを切る
場合、角度を付け過ぎると刃先で切る前に食材が割れてしまう可能性がありますよ!
にんじんが割れるって・・かなりの角度ですよね(笑)

まな板種類で研ぎを変化!
これは、切れ味持続と重大な関係を持っています。まな板に絶対当ると考えて、糸引刃にします。
糸引き刃とは、大げさに言えば2段刃です、しかし、目に見えるか見えない程の段刃で糸の様に
細い段刃を付ける事で、刃先が強くなり切れ味が長く続きます。
最近は、ソフトタイプのポリまな板が有りますので、その場合は糸引きが無くても良いかも!
しかし、それでも刃は食材以外に当るので、糸引きを入れた方がより一層切れ味が長く続くと
思います。

通常、洋出刃、サバキは刃角を鋭くして刃を強くします。牛刀、ペテ、筋引は、刃を広げて
薄くする傾向にあります。注意して欲しいのが、果物の種!包丁を薄く研いだ場合、種でも
少し掛ける可能性があります。それとカボチャですね!これは薄く研がなくて変な使い方を
するとかなり欠けます!

話は戻って、自分に合った包丁研ぎの参考になったでしょうか?
もしも、今回の特集で自分はどう研げば良いのかがイマイチ分からない方がいらっしゃいましたら
メールにて、お問い合わせ下さい。僕が考える良い研ぎ方法&刃の付け方をご提案します。

洋包丁カスタマイズから砥ぎまで色々特集しましたが、ご理解頂けたでしょうか?
これらのカスタマイズで、調理師さんが包丁に深く愛着を持ち良い調理を作られる事を望みます!

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