2003年8月期


今年は冷夏のようですね!先日琵琶湖に入りましたが、例年になく水が冷たく藻も成長していませんでした。
同じように、海水も冷たくて大阪湾南部では、今でもアオリイカが釣れたりします。3月〜6月頃がシーズンなんです!
漁師が捕る魚の種類も変わるのかな?
今回は一週間ほど早い特集UPです。2003年7月27日は何と!私、青木達哉の27回目の誕生日でございます。
来週はゆっくりしたなぁ〜と思ったり、今回の特集内容が冷めない様に&追い込まれないように早めのUPです!

今月の特集は、ズバリ調理師さんです。先日シカゴからお客さんが来られて夜の会食に出掛けました。
そのお店の料理長&店主さんが酔心INOX本焼和包丁を気に入って下さり、かなり使い込んで頂いています。


酔心INOX本焼和包丁を使う理由
これまで刃物屋的概念、錆に強く、研ぎ易く、長切れし・・・などなど、物理的要素?製造側の意見を元にして
Webや特集を組んできました。今回は、調理師的立場からの意見を交えての特集になります。

先に今回お伺いしたお店と料理長さんをご紹介!

上田屋南藤川
〒547−0013
大阪府平野区長吉長原東1−1−8
吉内ビル1F
TEL:06−6704−2911(予約受付)

上田屋店主&料理長
上田光則氏

上田屋さんです。上田さんは、フグ料理から飲食業界に入り、寿司屋さんを経て再びフグ料理に戻り自分の
納得の行く本格フグ料理をお出しされています。

包丁、料理、素材、全てにおいてこだわりを持って居られる方で、あらゆる種類の包丁をご使用になられた
ようです。実際所有されている包丁を2.3見せて頂きましたが、青本焼などもありました。しかもかなり綺麗に
研ぎ上げて、いつでも出動可能な状態でした。

僕は会食前に、デジカメを持って上田さんの仕事ぶり&お店内部を撮影して、包丁についても少しですがお話
をお聞かせ頂きました。

ハッキリ言って、青二鋼、白二鋼などの鋼系の錆びる包丁が良く切れます。
じゃあ何故に青二鋼より切れ味がやや劣るINOX鋼なのか?コダワリを持てば持つほど鋼系の包丁に行くの
じゃないのかな?と思っていましたが、調理師として総合的に考えると・・・・。下記へどうぞ!

上田さんが酔心INOX本焼和包丁を使用する理由

1.長く切れる
  鋼系を本刃付けした場合10の切れ味が出せるとします。
  INOXを本刃付けした場合9の切れ味が出せるとします。
  研いでスグは鋼の包丁が切れます。しかし、鋼系の包丁を5時間使用した場合、切れ味10が4にまで落ちるのが
  鋼系の包丁です。 INOXは、5時間使用しても切れ味9が6で止まると言って居られました。
  極端な話、INOXならば鋼の約倍の時間連続して調理が可能になると言う事です。

2.研ぎやすい
  10の切れ味から4まで落ちると言う事は、また10に戻す為には研ぎにもそれなりに時間を必要とします。
  INOX鋼は6から9に戻すのですから、数字的に言えば「鋼10−4=6」「INOX鋼9−6=3」でおよそ半分
  で切れ味が戻ります。しかも、INOX鋼は本焼ながら、研ぎ易い材料(スエェーデン鋼)を使用していますから
  本焼きとしては早く研げる。更に、粘りがある為に欠けずにピロっと曲がる感じなので、必死に欠けを取って
  研ぎ直す手間が必要無い。 
  (会社で落下させた事がありますが先が曲がってたダケでしたが、思いっきり落下したら欠けるか折れるかも!)

3.長持ちする。
  錆びない、欠けにくい、切れ味落ち率が低い為に、包丁が減らない・・・・。
  以前から申し上げてるように、包丁屋的には減って新たらしい包丁を勝手頂かないと・・なのですが、2年前?
  結構前にお買い上げ頂いた、柳刃包丁を見せて頂きましたが形も変わらず、もちろん錆びずに美しい姿でサヤ
  に入って居られました。

4.上記の内容から包丁に気を使う時間が減る。
  研ぎも早く仕上がり、錆に強くてと言う包丁の為に、他の事に気を使えるようになったと以前会社でお聞きしました。
  僕的にも、ホームページ更新、会社の出荷、新製品の想像、趣味の釣り(笑)などを考えると、一つ一つがおろそか
  になりがちになります。 料理にして考えれば、材料、メニュー、食器、盛り付け、味付け、調理、料理を出すタイミング
  など、かなり多くの事を考えて効率的に動かなければ良い料理が出ないと思うし、どこかに荒が出てしまう。
  料理に絶対不可欠な包丁にも、もちろん気を使わなければならない!そういった時に、包丁に対しての研ぎや管理が
  少しでも時間を裂く事が出来れば、その開いた時間で、新しいメニューを見つけたり、下ごしらえをしてみたり出来ます
  よね? そう言った事かと!この部分は僕の勝手な解釈です。

他にも色々理由があるかもしれませんが、僕が聞いてハッキリ脳裏に残っている事は上記の4点です。
一気に聞いたので、上手く整理できなかった部分もありますが、こう言った現場の意見を聞く事はこれから良い包丁作り
をする上で大変重要で、財産になって行きます。


上田さん鋼をどう思いますか?

上田さんは鋼についてもお話してくれました。
上記の「1.長く切れる」でも書きましたがそれ以外に、鋼が良いのは分かってる。
でも、今は上記の理由から、INOX鋼を使っている。鋼の良さを知っていて、INOX鋼を使用している。
INOXの特性を最大限に生かして使っています。 もしかしたら、この先また鋼の包丁に戻るかも知れないし
INOX鋼で行くかも知れない。それは分からない。  との事でした。

更に、お寿司屋さん時代のお話として、寿司屋は酢を使うから包丁がどうしても錆びる!
INOX鋼はそれが無いに等しいとも言って頂きました。 上田さんは社長に、「エエもん作り過ぎですわ〜」と言ってました。
社長は「・・・・悩みの種です。」と! 

上田さんの包丁さばきや、包丁本体を見せて頂きましたが、自分の道具として完全にカスタマイズされてました。
調理師では無い僕が思うので確かでは無いでしょうし調理師の皆さんは既に思っているでしょうが、上田さん以外
の人が、上田さんカスタマイズ包丁をが使用したした場合、使いにくいかも!と思いました。
簡単に言えば、他人の車を運転する時に、サイドミラーやルームミラー、座席の位置を変えずに運転してる感じに
なるんじゃないかな?

ナイフシステム社内でも誰かが砥石を使ったらスグ分かる! 砥石を使うのは僕か、社長しか居ないのですが、
使いにくい状態になってる場合が多いです。自分が使いやすい状態に戻しつつ使用するので、使い終わると
また自分色に染まった砥石になっちゃう! 職人、専門職となると、やはり道具は自分で、自分の仕事がしやすいように
自分でカスタマイズするもんですよね!こだわれば尚更です!

もちろん包丁談義も行われました!真ん中の鍋には極上のおじやが! 厨房風景


さ〜て!包丁の話はこれくらいにしておきまして!上田屋さんのフグ料理のお話です。
以前の特集でプロとプロの戦い「こだわりの精神」を特集しましたが!上田屋さんはこだわりのお店です。
フグの言わばフルコースを頂いたのですが、取り合えずの料理が無い!全部の料理に気合を感じるのです。
「フグの南蛮漬」「皮のヤツ(何て言うんでしょうか?)」「フグブツ?」「から揚げ」「てっちり」「刺身」「おじや!」
僕は、お世辞が下手?顔に出ちゃうタイプの人間で、美味しくない物を食べて、言葉で美味しいと言っても顔が美味しく
無い人間です。←お世辞を言わなくてはならない時には大変不便です(笑)

そんな僕が、美味しいと思って、実際に言葉になり、顔に出たのは久しぶりです。NYで高級レストランに連れて行って
頂いた依頼です。あの時はカエルがメチャクチャ美味しかった(笑)

更に「おい!達哉!なんて事言うねん!」と怒られそうですが、僕は生の魚をあまり食べません(^^;包丁屋なのに・・!
特にハマチ、マグロ(ネギトロは好き)は抵抗があって、進んで食べる事が非常に少ないです。
今回、シカゴから来られたお客様は、シカゴで食材の販売をされてる社長様で、元調理師さんです。
「僕は、生の魚あんまり好きじゃないんです!生くさいのが嫌で、特にハマチとか」と言う話をしたら
「良くないハマチだね!俺だって、変なハマチは食べれないもん!良いものを食べてないんだよ!」と教えて頂きました。

間で色々余談が混じりましたが、上田屋さんは、本当に美味しい。
鍋物って、アクでますよね?それが出ないんです。悪いアクが出る部分は調理時に除去していますと上田さんが言って
居られましたが、実際に出ませんでした。 刺身や、から揚げなどの、料理は調理場で調理師が納得行く味付け、調理法
でお客さんの口に入りますが、鍋はお客さんが勝手に入れてグツグツしちゃう料理なのですが、上田さんのこだわりは、
鍋にもありました。自分が、一番良いと思う鍋の方法を座敷まで来てレクチャーして頂きました。
他がマネしたら駄目なので、レクチャーの内容は秘密です(笑)

最も良い状態で食べて欲しいと思う、上田さんの心意気だなと思いました。僕はそう思ったのですが、人間色々ですから
「そんなん、俺らの勝手で鍋してもエエやん!」と思う方も居られるかも知れませんが、上田さんはその辺りはキッチリで
「私が最高と思う鍋方法はコレです。後はお客さんの好みに合わせて食べて下さい。」との言葉!
僕は、上田さんのご提案通り食べて、今度は自分の思い通りに食べましたが、所詮素人・・。良い材料を悪く鍋してしま
いました(泣)
全ての料理がコダワリです。「おじや」なんて、満腹なのに3杯食べてしまえる旨さ!他には無い「おじや」です!
上手く表現できないのが歯がゆいです!

久しぶりにこんなに長い特集ですが、マダ伝えきれない情報がこの件に関して沢山あります。
「百聞一見に何たらと」いうコトワザがありますが、調理師の方でもまた一般の料理好きの方でも一度お店に行ってみて
下さい。言葉で味は伝えれないし、包丁さばきも伝えれないです。 「一度って達哉、フグって高いんちゃうの?」と言わ
れそうですが、あの料理でこの価格は安いと言っても良いと思います。 
あっ!お酒を沢山飲むと勿論価格は上がりますよ!これはドコでも一緒ですよね!

電話予約等で予算を言えば、その予算内で最高のフグ料理をご用意して頂けると思います。


酔心のWeb見て来ました!と言ったら、もしかするとスペシャルな何かが出てくるかもですよ〜♪(大混雑時は無理かも!)
勝手にこんな事書いてしまった・・・。上田さんよろしくお願い致します。

アクセス方法 お店風景 定員50名!

最後に!INOX鋼には特別な研ぎを行うと格段に切れ味が上がります。上田さんは既に習得されておりINOXを使いこなして
居られます。 本当は、調理師さんが、自分で研ぎ方を探して試行錯誤するのが楽しみかな?と思っているのですが、
やはり、酔心もINOX鋼を最高の状態で使用して頂きたいと思うので、次回の特集で酔心INOX本焼和包丁の研ぎ方を動画
も入れて本格的に特集します。と言う事で、次回の更新が少し遅れるかも知れませんが、濃厚なページを作りたいのでお待ち
下さい。 

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