2002年8月期

 

 酔心特集再び再開デス!

 暑い!取りあえず今年の夏は暑いです。先日工場に足を運びましたが、有り得ない程暑いです。
その過酷な状態でも職人さんはせっせと包丁造りに励んでいました。
私は、5分も経たない間に毛穴という毛穴から汗がシャワーの様に吹き出て「俺って現代っ子なのかな?」
と思いました。やはりクーラーが無くては!
 って事で、今回の特集は「本焼」です。夏にはあまり関係ないかも?ですが一応知識として覚えておくと
話のネタになるかも!


 本焼が鳴く!? 本焼使用上の注意!

 本焼が鳴きます(笑)と言う話ですが、犬や猫の鳴き声!な話ではなくて本焼包丁が鳴くと言う情報をGet!
そもそも本焼は、一枚の鋼で造られた包丁の事を言います。本焼の特性がらキンキンに焼きが入っています。
軟鉄が無い為に力の逃げ場が無いに等しい状態で、常に包丁が張ってる状態なのです!(職人談デス!)
キンキンに張ってる為に、骨などを当てると簡単に欠けたりします。それだけ繊細な包丁が本焼です。

 今は暑い!夏ですが、本焼は冬に鳴きます(@例外もあります。) 寒い朝、冷たい水で包丁を研ぐ作業を
行うと鳴きます。「ん〜是非その鳴き声を聞きたい!」と思う方が居るかも知れませんが!!!!!
鳴くと包丁がある意味終わります(苦笑)では詳しく説明しましょう!

上記に記した様にキンキンに包丁が張ってます。焼きもかなり入ってます。そして力の逃げ場は在りません!
そんな本焼包丁を冷たい水の中に居れると「ピュン、ピキピキ」と音がします。←これが鳴き声!
音が出る原因は、包丁の刃が割れている音です。

実際に実験していないので、どれほど割れるのかはお答え出来ないのですが、真っ二つになってもおかしく
無いかも!と考えています。 本焼は使い方を間違えると真っ二つに折れるなどの事例もあります。
当社でも、INOX鋼を柄に挿げる際に中子の叩き方を間違えると、中子が折れたり、切っ先がピキ〜ンと飛ん
だりします。 焼きが入ってる為に中子を叩く行為がモロに切っ先まで伝わって折れると言う事です。
カナリ危険な事で、挿げ場で座っている社長の太もも横数cmに飛んだ切っ先が畳に刺さった時は恐ろしい
かったです。 

本題に戻って、結果的には本焼包丁が鳴くと包丁がOutになる!もしくは少しダケ欠けた場合でも直すのに
相当の労力を使う事になりますので、要注意!
しかし、通常の調理師さんは仕事が終わってから包丁を研いで一日の仕事を終えると聞きますので朝から
包丁を研ぐと言う事は少ないとは思いますが!もしも朝一番に研がなくてはイケナイ状況になった時は気を
付けてください。(本焼は安くないし、朝から鳴かれたら一日ブルーですし!)
しかしながら、本焼が鳴くか鳴かないかの瀬戸際が、もっとも良い本焼らしいです。

酔心INOX本焼は鳴くの?って事なのですが、INOXは粘り気がある為に鳴きません。
骨に当っても欠ける事は無くて、むしろ曲がる?刃がピロッ!って曲がる感じになります。
そう表現すると、簡単に曲がりそうですが、結構な硬さなので簡単には曲がらないです!

追加情報
青二本焼が泣きました。急に寒くなった事もありかもしれません。
写真はポッキリ折れていますが、これは会社で原因究明の為に折ったので派手に折れてます。
実際はしのぎ筋に亀裂が入る程度でした。しかし、使い方を間違えるとこのように折れる危険も
あるそうです。何より調理師さんの手が危ないし、欠けた場合料理にその破片が入る可能性も
否定できません。もしも、それがお客さんの口に入ったら・・・・。(怖)

一番左の写真でしのぎ部分が茶色くなってます。ここが割れた部分です。
当社に包丁来るまでにサビが出たようです。
包丁を割ってみたのですが、錆びてない部分の分子の細かさが尋常じゃなかった・・・。
これは青二鋼だから?と勝手に考えてます。「目で見てわかるんかい!」と言われそうですが、
見た目で細かい!白二はどんなんかなぁ〜と興味が沸いてきたのですが、割るわけにもいかないし・・。
デジカメ付き顕微鏡が売ってるので、一回仕入れてみてみようかな!


酔心夢工房研究所開設

 酔心夢工房研究所は、刃物に関する疑問や謎を製造側の見解で解答を導き出す為に発足しました。
長年の経験と勘で包丁を生み出す職人でしか分からない事実を、研究結果として発表していきます。
また研究員が得た情報をも続々UPして行きます。 ご期待下さい。
研究員大募集です。
詳しいページを製作していますので完成次第Topページにリンクを貼ります。
来月頃を考えていますので、来月の特集でもご紹介致します。


それでは皆様、暑い暑い今年の夏ですが、お体に気を付けてください。 

See you next month !


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