2007年8月期「直刃の難しさ!」
 

 

■直刃の難しさ■

直刃を持つ包丁は、「蛸引」「薄刃」「鎌形薄刃」「ムキ包丁」「蕎麦切」「名古屋裂」「江戸裂」「サバキ東型」
掘り下げて考えてみれば、結構あります。 これらの直刃を研ぐのは難しい!!っと言われていますが、
難しい理由はいくつかあります。

それには、包丁の問題砥ぎ方問題砥石の問題があります。
砥石は平面を保てばOKなのですが、包丁は裏側の比が綺麗に出ている事、
シノギ筋周辺の処理がきちんと出来ているのが絶対条件。

そして今回のメイン題材「シノギ筋周辺の処理」と「砥ぐ側の問題!」です。
厳密に言えば研ぐ人の錯覚や固定観念を問題とする壮大な特集です(笑)←大きく言ってみましたが、軽い感じで(^^)b


これまで、「砥石を平面にして〜」 「包丁の裏比をきっちり見て〜」 っと言ってきたので、この部分は省きます。
ちゃんとした条件が整っていたと過程して話を進めましょう!!


「蛸引」「薄刃」「鎌形薄刃」「蕎麦切」などは刃の直線を保ちたいです。
蕎麦切包丁などは曲がっていると酷い場合、打ち粉をしても切れない部分が・・・・・。

刃先を直線に砥ぐだけなら、包丁に曲がりが無く、裏の比率が均一なら意外に簡単かも知れません。
こんな包丁を探す方が簡単ではありませんね・・・(^^;

「刃先を直線に砥ぐだけ!」の次に刃先とシノギ筋と平行にしたいと言う事が出てきます。
包丁全般に言える事ですが、元から先までテーパーが付いてます。
元が厚くて先が薄い!と言うのが定番です。柳刃や出刃なら、先細(尖ってる)のでハッキリ感じる事が出来ます。
しかし、薄刃などは、四角なので感じにくいかも知れません。

直刃系包丁の場合、このテーパーがあると言う事で、元と先の厚みに変化が生まれます。
もちろんシノギ筋周辺の厚みにも変化が生まれます。 っとなると、刃先が細くなりシノギ筋
に対して刃先が斜めになってしまう原因になります。 
(切り刃の幅が切っ先に向かって細くなる現象)


写真では遠近の問題もありますが、お手持ちの包丁を見て下さい。
和包丁、洋包丁共に先に向かって細くなっています!





の厚みを同じにすると刃もシノギ筋も平行になります!
 
/ のように刃が減る事がありません!
読み返して意味不明な感じがしたので補足です!!



物理的にシノギ筋と刃を平行に真っ直ぐするには、元厚と先厚を同じにしなくてはなりません。
元厚と先厚を同じにすると、妙に頭が重たい包丁になってしまいバランスが崩れてしまいます。
これをちゃんとしようと思うと特別優れた刃研ぎ屋さんにお願いしないと上手に出来ません!
(ここでは、その方法を書きません!!職人が培った事なのでごめんなさい)

で、そうなると、調理師さん側で平行に出来ないのか?っと言われると出来ます。

薄刃、鎌型薄刃などのテーパー付き包丁を砥ぐと薄い部分から破れてきます。
(破れるとは砥いで薄くなり過ぎてパリパリと刃が取れていく現象)
テーパーによって先の方が薄いので、厚い刃元を研げば、そもそも薄い刃先は破れていきます。
それはテーパーに従って刃が斜めになって行きます。
そして、最後には刃元と同じ厚みになった時、斜めになるのが止まります。

そうなると、切り刃の幅に差が出て元は厚いけど切り刃幅が広いのでス〜っと入るが、先は幅が狭いので
詰まる感じになるなどの症状がでます。

先が細くなるならシノギも砥いで上げてしまうのも良い方法です!
しかし、刃は柄に対して斜めになってしまうので、カツラ剥きなどの場合は包丁の
構え方に影響するのでは無いかと・・・思うのですがどうでしょう?

Bの様に刃が斜めになるなら!Aの様にシノギ筋を上げれば刃の抜けは良くなるかも!


こうならない為に、出来るだけ先を砥がないように研ぐ!(超しんどい!!!!!!!)
これを実践されてる方も多く居られるようですが、仕事終わってから砥いだりするのには精神的につらい!
感覚的には、先を触らないようにして砥ぐような・・・微妙ですね。。

INOX本焼のように頻繁に中砥などで砥がなくて良い種類の包丁ならば、変形のスピードは遅くなる。
初回の本刃付けならば神経質にならくて良いかも!
炭素鋼系のように毎日砥ぐとなると、ドンドン減っていくから神経使うと。。


そんな神経使いたくない!と言う方は、元を減らす事をお薦めします。
刃元のシノギ厚を先のシノギ厚に合わせてやる事で解消できます。
しかし写真のように変な感じに研がなくてはならなくなります。


現状で刃の直線を生かす為には、シノギ筋を写真の赤線のように砥ぐ必要があります。

刃を斜めにするか?シノギを斜めにするか?の違いです!



今、酔心の白二鋼は、上記に書かれた事がクリアできるような砥ぎになっています。(現在入れ替え中)
写真参照! 買ったその日から刃とシノギ筋を平行に保てます!注(平な砥石で砥いで下さいね。。)



そろそろ新蕎麦のシーズンです。
蕎麦切包丁を砥ごうかと思う方も居られるでしょう!なんてったって直刃の特集です!

しかし、とりあえず今回は此処まで!ここから先は次号に!

蕎麦切包丁は、平らな部分が多く鍛造物で手作業で作られた物の殆どは平面ではありません!
伝統工芸士が砥いだと言えど、丸い砥石で砥いでる時点で平面を作る事は難しいです。
でも、平面にしなくてはならない部分があります。それは、刃先周辺!
シノギ筋周辺裏表合わせて平面にしなくては刃が真っ直ぐならないからです。

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