2010年2月期 「丸刃を克服する為に!」
 



切れ味に激しく影響を及ぼす丸刃!!
刃先から数ミリをコロコロに研いでしまうのを丸刃(まるっぱ)と呼んでます。

丸刃にしてしまうと、切れ込みが非常に悪くなり包丁としての性能を100%発揮出来ません! 

丸刃になるには、原因があり意識しない限り、研げば研ぐほど丸刃になってしまいます。
それを克服する為に、刃研ぎ職人さんとの会話の中から、抜粋して特集にしました。

特集を読んで克服できても、再び「丸っ刃になってきたなぁ〜」っと思ったときはもう一度読んでください。



◆ 丸刃になる原因 ◆

1.砥石のメンテナンス不足

凹んだ砥石で研ぐと、相手(包丁)も同じような形状になってしまいます。
砥石のメンテナンスをマメにするだけで、簡単に克服できる場合も有り!!
この原因が50%ぐらいでは無いでしょうか。。。
良く研げる中砥石や荒砥石ほど、平面を保つようにする事が重要です。


2.柄を持つ手の角度ふらつき

右利き用包丁研ぎの場合、右手で包丁柄を持って左手で包丁を押して研ぎます。
右手は、角度を決める役割をしているので、この手がクニクニすると丸刃になります。
このクニクニはハマグリ刃を意識する時に、スポットを間違える場合も多いです。
早いスピードで研ぐと、持ち手角度が決まりにくいので、研削力の強い砥石はじっくり
ゆっくりと角度を決めて研ぐ事を薦めます。


3.包丁と砥石の当たる角度

これは、柄を持つ手の角度ではなく、砥石と包丁を当てる角度の事です。
砥石と平行に包丁を当てると、丸刃に成り易く、直角に当てると直滑降的な刃になります。
しかし闇雲に直角当てすると、シノギ筋を潰したりするので、限度があります。。。
この事については、過去に特集でお話しました。以前は失敗談でしたが、今回は有効
活用編ですね!



職人さんとの話の中で、最も多いと思われる原因を挙げてみました。
これらを注意する事で、克服出来ると思うのですが、それぞれを詳しく説明してみましょう!



1.砥石のメンテナンス不足

上記にほとんどキモを書いていますが、砥石の面が平面で無い限り包丁側は平面に
する事が出来ないと思って間違いありません!

特に中砥石や荒砥石などの研削力ある砥石の場合、研ぎとる力が強いので反っていると
「あっ!」っと言う間に、刃が丸くなってしまいます。

「包丁20往復研いだら、砥石の面直ししたらええの??」 って感じではありますが、
極端な話、それぐらいの気持ちで居た方がバシっと付きます。

砥石の減り具合によっても面直しのタイミングは変わってくると思いますが、気持ち的に
それぐらいの心意気で!!

仕上砥石などは、研削力が低く刃先を整える程度と考えられるので、神経質になる必要
は無いと思います。 仕上砥石に関しては、砥石のせいで丸刃になる事は少ないと・・・。

永く切れる包丁を選べば、中砥で一回本刃付けを行えば、頻繁に中砥から研ぎ直す機会
は減るので、その辺の事も包丁選びの一つになるかも知れません。


バシっとキメたい時は、マメに面直しを!!!


この反りは、この反り也に丸刃になると考えて良いと思う!

これを使って蛤を作る事も出来るかも知れないけど、それはシノギ筋周辺での事で
刃先をこの砥石で研ぎ抜きに掛かると、丸刃になって行くと・・・。




2.柄を持つ手の角度ふらつき

永遠のテーマである角度維持に関してです。
どんなに砥石が平面でも、研ぎ角度が変化しては刃が丸くなってしまいます。

理想は、角度を変えずに研ぎ抜く事ですが、それに関してのコツを職人にも聞きましたが
「それは練習するしかない!」 「それかトゲールやな!」って事でした。

僕なりの角度安定方法は、ゆっくり角度を変えないように研ぐ事。。
時間が掛かりますが、理想の角度で基礎だけ研げれば、その後は楽になります。

練習あるのみ! もしくは、ゆっくり角度を感じながら研ぐしかない!


極端な事ですが、角度をつけなくて良いようにベタ研ぎにしてしまう。。
ベタ研ぎをしている方ならば、「あん??角度??あん??」ってなってるのかも(^^;



3.包丁と砥石の当たる角度

今回の特集メイン!丸刃克服の研ぎ方です。


丸刃になり易い研ぎ角度! 45°よりも平行気味です。

これでも右手で角度を決めれる人はシャキっとした刃先を得る事が出来ます。


↑コレを↓のような角度にチェンジ

この角度にする事で、刃が鋭角に研げる。

写真の指先は、包丁中ほどを押さえているが、刃先をパシっと合わせるには
指先を刃先の裏(指先の一部が砥石に触れるぐらい)をグっと押さえる!

研ぎの際、押す時に力を入れる事! 引く時に力を入れると手が切れるカモ。。。
(引く方が良く研げるんですけどね。。安全第一です!)



刃先がコロコロの丸刃になってしまったり、酷い二段刃になった場合は、
多少強引ですが、これぐらいの角度で研ぎ抜くと早いです。

ただし、包丁全体が均一に研げないので、様子を見ながら研ぐ必要があります。
一箇所だけ研ぐと、その部分だけ研げてしまい、包丁を研いで変形させる事があります。







研ぎたいと思う場所の裏を押さえて研ぐのが基本です。
角度を変えると、本当に良く砥石に掛かりグングン研げるのを実感できると
思います。 打物(2枚打ち)だとシノギ筋周辺は軟鉄なので良く研げます。

刃先をしっかり研ぐ事を意識して、鋼部分を研ぎ卸すイメージが重要です。




上記の研ぎを行う上でも、砥石が平面でなければなりません。

長い目で見てお勧めなのは反り極めて少ないダイアモンド砥石です。


色々なダイアモンド砥石があり、使った事がある人も居ると思いますが、
酔心、職人オススメのダイアモンド砥石は、かなり優れモノです。
このダイアは販売している所が無い?少ないので、良ければお取り寄せ致します!
定価が高いですが、価格以上の性能があります。。値段も少しなら・・・勉強できるかも (営業)




これは、牛刀や筋引 出刃包丁や柳刃包丁などあらゆる種類に適用できる事です。
刃先に直刃があってのハマグリ刃や糸引刃なので、あらゆる研ぎの基礎として、丸刃を解消
して研ぎのバリエーションを広げると自分に最適な研ぎや刃の状態を作れると思います。


抵抗無く、サクっと切れ込む刃を是非!! 見違えるように切れ込みます。。



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